フランスの教育制度について(中等教育まで)

フランスの義務教育は、6から16歳の10年間である。6から11歳は初等教育機関の小学校(エコール、Ecole)、その後の4年間は、前期中等教育機関の中学校(コレージュ、College)である(最初の2年が観察過程、後の2年が進路指導過程)。その後、本人の能力や希望により、後期中等教育機関の高校(リセ、Lycee)に進学をする。Lyceeには3年制の普通Lycee(普通課程と技術課程)と、2から4年制の職業Lycee(職業課程)とがある。どちらのLyceeにも工・商・農などの産業系の緒コースが用意されているが、前者はテクニシャン・中間職(水準W)、後者には熟練職(水準X)に導く専攻が置かれている。フランスでは、最低CAP,BEPを取得しないと、職業には就けない
  
資格水準と免状の一覧




















フランスの教育制度は日本同様中央集権的であり、Lyceeの第1学年のカリキュラムは次のように定められている。























( )は、少人数指導や実習等の時間。
※モジュール:個に応じて、個を生かす学習支援プログラム(学力別指導)



【普通リセ】
大学、グランゼコール等の高等教育進学者を対象にバカロレア(中等教育終了と高等学校入学資格をあわせて認定する国家資格)取得準備のためのリセである。2年目以降は以下のように普通教育課程と技術教育課程に分けられる。
普通教育課程:文学科、経済・社会科、科学科
 技術教育課程:医療・社会科学科、実験科 学術、工業化学・技術科など

【職業リセ】
 修業年限は2から4年であり、主に就職希望者を対象に、職業資格取得準備のためのリセである。2年制では職業適格証(CAP)、職業教育免状(BEP)の国家資格取得、3年制ではCollege第2年修了者を対象に職業適格証(CAP)取得準備のための教育を行っている。4年制は職業適格証(CAP)、職業教育免状(BEP)より上位資格である職業バカロレア(BacP)取得ための課程である。かつては職業リセではバカロレア受験資格を取得できず、高等教育進学も不可能であった。しかし、ミッテラン政権時代に、「2000年までに大学入学資格であるバカロレアを持つ青年を80%にする」というジョスパン改革がなされ、職業バカロレアを創設し進学も可能となった。本来職業バカロレアは就業を促進させるためのものであり、2年間で16週間の企業実習が必修として課せられているなど職業資格としての性格が強いが、CAPやBEPだけでは就業が難しい時代となっており、職業バカロレア取得を求める学生が多くなってきている。





水準T、U グランゼコールないしエンジニア学校の免状
大学第2期(学士、修士)
第3期(博士)の各免状
水準V 上級テクニシャン免状(BTS)
技術短大免状(DUT)
大学第1期免状、等
水準W 普通バカロレア(BacGe)、技術バカロレア(BacT)
テクニシャン免状、職業上級免状
農業・商業・工業・社会・ホテルの各教育免状
職業バカロレア(BacP)
水準X 職業適格証(CAP)、職業教育免状(BEP)等普通バカロレア(BacGe)
技術バカロレア(BacT)
−  職業適格証(CAP)、職業教育免状(BEP)等
初等教育終了証(CEP)と同等な免状、前期中等教育修了書
共通科目 時間は自然時間(60分)
国語 3.5+(0.5)
地理・歴史 3.0+(0.5)
外国語(英or独 2.0+(1.0)
数学 2.0+(1.5)
物理・科学 2.0+(1.5)
生物・地学 0.5+(1.5)※
保健・体育 2.0
人文科学 0.5
2科目選択
外国語(英or独or西) 2+(0.5)
経済学 2+(0.5)
物理 0+(3.0)
工学技術 0+(3.0)※
情報処理 0+(3.0)※
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